三内丸山遺跡の巨大木柱(六本柱)、1本が1,100万円?

 「クリの木」を「防腐処理」して建立したはずの六本柱の根元が腐ってきたと聞いた。
 「クリの木」で私がイメージするのは「堅い」ということだ。小屋の梁に金具を取り付けるために、ステンレスの木ねじをインパクトドライバーで回転させたが、木ねじの方が捩じ切れてしまった。その時初めてそれがクリの木だと知った。
 防腐処理をしたクリの木が腐ってきたと聞いて、「手抜き工事では?」という疑問を抱いた。使用した木材と防腐処理の方法と施工業者を知りたくて、5月22日に行政文書開示請求を行い、インターネットでも県議会の議事録を調べた。そうしたら、驚きの数字が目に飛び込んで来た。六本柱に使用した木材(クリの木)はロシアから輸入したとは聞いていたが、一本に何と1,100万円も出していた。輸入木材が安いから、国内の林業(農業・水産業も同様)が衰退したと思っていたし、ロシアにはそんな巨木は捨てるほどあると思っていたので、原価は一本数万円、運賃の方が高い位で、それを合わせても一本数十万円だろうと思っていただけに、購入価格を聞いてびっくり!何と総額が6,600万円。「ぼったくられた」か「水増し請求させた」かのどちらかではないかと思えるような金額だ。
 他の県民はどう思うかわからないが、私には「普通ではない」ような気がする。
 
1996.10.04 : 平成8年第207回定例会(第5号)本文(一部抜粋)
3 : ◯四十一番(山内和夫君)

 通告してあります歳出八款五項四目「公園事業費」、及び十款六項二目「文化財保護費」の三内丸山遺跡整備費についてお伺いをいたしたいと思います。土木部においては現運動公園の整備費を計上しているわけでございますけれども、その内容についてお伺いいたします。また、教育費において三内丸山遺跡整備費を計上しておりますけれども、その内容についてまずお伺いをいたします。
 そして、この二点に関連いたしまして巨大木柱の建物についてお伺いをするものであります。その一点は、直径一メートルもあるクリの木ロシアから買い求めて青森の三内丸山まで運搬したわけでありますけれども、これは幾らぐらい──クリの木値段及び諸経費をひっくるめてどの程度かかったものかまずお知らせをいただきたいと思います。
5 : ◯土木部長(加納研之助君)
 次に、大型掘っ建て柱建物の屋根のお話でございました。この秋の完成を目指して復元工事を進めております三内丸山遺跡の大型掘っ建て柱建物についてでありますが、復元案を取りまとめるに当たりましては、県からの依頼により八戸工業大学高島教授を中心に検討が進められてまいりました。復元につきましては専門家の間で大きく建物説、非建物説に見解が分かれておりますが、高島教授は、考古学者や建築学者からの助言を得ながら復元の設計を進め、発掘調査の知見から建物説に立ち、祭祀性の強い複合的な目的を持つものと考え、それに基づいて具体化されました。この復元案につきまして同遺跡の基本計画検討委員会委員に送付いたしましたところ、屋根につきましては、建物説に立つ委員からも、その棟方向、構造、素材等についてさまざまな意見が寄せられたところであります。それらの意見の取り扱いについて設計者の高島教授、それから土木部、教育委員会が十分協議し、専門家の間でもさまざまな見解があることや、子供たちを初めとする見学者の持つ豊かな創造力が広がる余地を残すとともにロマンを膨らますことができることに配慮いたしまして、屋根のない建物として復元することとしたものであります。また、今のところよくわかっておらず意見の分かれる部分につきましては、議論のできる余地を残し、大いに議論していただくことが逆に三内丸山遺跡を世界に発信していく原動力につながるものと考えております。なお、他のさまざまな見解につきましては、模型での展示やガイドブックへの掲載などの措置を講ずることといたしております。
 以上であります。(山内議員「丸太の値段」と呼ぶ)申しわけございません。答弁漏れでございます。丸太につきましては、一本約一千百万円、六本でございますので六千六百万円でございます──約六千六百万でございます。
7 : ◯教育長(松森永祐君)
 教育委員会の考え方というふうなことに関しましては、大型掘っ建て柱建物の復元につきましては、復元案をまとめられた八戸工業大学の高島教授と県の土木部、そして教育委員会が三内丸山遺跡の基本計画検討委員会委員の御意見を伺いながら十分協議を進めてまいりました。先ほど土木部長から答弁がありましたとおり屋根につきましては専門家の間でもさまざまな意見があることから、見学者の創造力を広げロマンを膨らましてもらうにはどのようにしたらよいか検討した結果、現在わからない部分については今後の調査、研究にまつということで屋根のないデザインにしたものでございます。御理解のほどお願いいたします。以上でございます。
9 : ◯四十一番(山内和夫君)
 今御答弁をいただいたわけでありますが、一本一千百万というのは一般の我々から考えますと大変な額だと思うわけでありますが、これだけの金をかけてロシアから運んできたこの丸太を、ただ丸太を立てて何か途中に床を二段ぐらいに張っておくということでは本当に残念でならないわけであります。そこで、今の答弁を聞きますというと、その丸太を立てているのを見て想像していただく、想像を膨らませていただくということですけれどもね、私は、そういう丸太を立てたもので想像を膨らませるという──ロマンだとも言っているようですがね、私はそれではいけないと思うんです。三内丸山の想像、ロマンというのは、この建物──いわゆる巨大な六本の柱を立てて屋根があって、そこには三十二メートルの大きな集会所もある、そしてまた高床式の倉庫もある、たくさんの住宅がいっぱいある、そして、そこに住んでる人たちが、あの漆を使った、赤くつくったかんざしを差したり、耳にイヤリングまでつけて、そして新潟から来たひすいもまた飾りつける、ネックレスもやっている、あのポシェットという非常に近代的なものもつくられている、そういう服装であの周辺でいろいろ生活している、そしてそこにはその巨大ないわゆる建物があって、そこでその住民の人たちが平安を守っている、そして漁をしている人たちの安全を確かめている、交易をしている人たちの安全をいわゆる巨大建物から見ている。私は、その生活を想像する──三内丸山全体を想像するのが大きなロマンであり想像を膨らませることだと思うんですよ。全体を──ただこの六本柱で想像させたって何もロマンでもない想像でもない。きょう私が議会に来たらこれが議員みんなの机に上がっていました、この本。今見た。そしたらですね、これはある業者が出したもんですけれども、これを編集した中で──国立民族学博物館教授の小山修三先生を初めたくさんの専門家が編集したと。その中でこういうふうなものが絵としてちゃんと出ている。これが想像されるそうです。科学的に、建築学的に分析すると当然こういう建物になる、こういうことがちゃんと──きょう皆さん帰ったら見てください。部屋にあります。そして、設計まで想像されるのがちゃんと出てるんです。先ほど土木部長も教育長も言うようにですね、いろいろ想像されると、そして、屋根のある建物もあるし建物でないという議論もあるなら、屋根のある建物を選べばいいじゃないですか。なぜないのを選ぶのか。もし屋根のないものを建てたら地下に眠っている縄文人は泣きますよ。現代人の心のそういう貧しさに対して縄文人は非常に嘆き悲しむのではないかと私は思いますよ。それはもう一度、ちゃんと屋根をかける──今もう建設にかかっているわけですからね。高島教授もそういうようなのをちゃんと書いているなら、もし材料とかいろいろな問題で問題があったなら、その材料問題を修正してでもかけるべきだと思いますよ。屋根をかけるというそっちの方を選ぶべきだと思う。そこをもう一度答弁をお願いします。
11 : ◯土木部長(加納研之助君)
 ただいま山内議員から、縄文のころ三内がどうであっただろうというようなことについて、大変イメージを膨らませていただいた想像の絵を描いていただきましたが、まさに、私ども関係者と寄り合って、今回の建物の復元をするに当たりましていろいろな御意見があるわけでございますので、いろいろな方にいろいろなイメージを持っていただくということのためには、むしろ議論の分かれる部分についてはおいておいて御想像に任せる方がベターではないか、それによって三内丸山についての関心を維持、あるいは発展していただけるということにもつながるんではないかというふうに判断したものでございます。御理解いただきたいと思います。以上です。
13 : ◯教育長(松森永祐君)
 繰り返しになりますが、屋根につきましてはあったかどうかわからないわけでございまして、専門家の間でも、先ほども申し上げましたけれどもさまざまな意見がございます。そういうようなことから、これも先ほど申し上げましたけども、復元はわかっているところまでにとどめ、そして、現在わからない部分につきましては今後の調査、研究にまつということで屋根のないデザインにしたものでございます。御理解をお願いしたいと思います。終わります。
15 : ◯四十一番(山内和夫君)
 さまざまな意見があってそういうふうにしたというわけですから、屋根があったという意見もあるわけですよ。大体、今まで県内の新聞にいろいろ、「明鏡」欄等に県民の多くの声が出ていたんじゃないですか。県民もそう思うんです。私も実は先日、あの丸太を全国から集まった人で引っ張っているのをちょっと見ました。三内丸山というものについては日本国民が本当に関心を持っているし、もう世界的な遺跡であると言われているんです。科学的に──私はまだはっきり見ていませんけれども、さっきちょっと見たら、建築学的に見ても、これは二度の角度で丸太が建っているというんです、二度の角度で。二度の角度で建っているとすれば黙って建てておくと転ぶそうです、深さが二メートルしかないそうですからね。二メートル掘って十何メートルも建っていれば、二度の角度でいくと上で何か八十何センチかの勾配になるんだそうです。ですから倒れる。当然これは、上に建って屋根があって、そしてこの丸太には当時の漆塗りなんかも使ったものでないか、塗りも使われているというふうにこれに書かれている、その周辺の発掘されたものからですね。そう言う学者もあるわけですよ。何か特定の学者によってそういうふうなことで曲げられているとすれば私は残念でならない。これは、土木部長も教育長も──きょうは知事がいないから、副知事、知事と相談してこれを検討する、これをもう一回検討しますということを──土木部長と教育長はもうだめだ。ひとつ副知事、もう一度検討する、知事と相談するということを言ってください。
17 : ◯副知事(工藤俊雄君)
 山内議員から、古代のロマンに夢をはせた大変立派な御見識を伺わせていただきました。今までの経過は土木部長並びに教育長から申し上げたとおりでございまして、まあ私たちの率直な感覚から言えば、多分屋根があってほしいなと思うんだと思うんです。ただ、お話にもありましたように、学者先生方のいろんな意見があって、いろんな考え方があるわけでございますので、教育長からもお話がございましたように、将来の検討課題としてひとつ残していただいて、もう少し議論をしてから、本当にそういう可能性があったんだなという確度の高いところで、そこはまたもう一度見直しをするというようなことにさせていただければと思いますので、御了解いただきたいと思います。(山内議員「知事と話ししてくださいよ」と呼ぶ)はい、知事にはお話を申し上げます。はい、わかりました。

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