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電力会社が再処理路線生き残りを謀るワケ(その2)2/2

4.再処理事業計画の不思議
 
2013年1月末、日本原燃は再処理工場の事業計画を明らか
にした。

  再処理施設の使用計画(2013年1月末、日本原燃が原子力
 規制委員会に提示)
130302日本原燃再処理計画

この計画が不思議なのは、再処理量とウラン量が違う点である。単純に考えても、780トン再処理して、ウランが842トンできるのはおかしい。なぜこうなるかと言えば、おそらくは総延長約1300劼稜朶秒罎法▲Ε薀鵑筌廛襯肇縫Ε爐溜まったまま、竣工まで待っているということなのであろう。硝酸溶液を満たしておかないと、腐食が進行して、配管がぼろぼろになるという構図が、原発の廃炉と同様に厄介な課題であるのだと思う。それだけ、慎重な作業が必要な再処理工場なのだ。

なお高レベル廃棄物については、再処理量800トンで、高レベル廃棄物が1000本出る計算であった。10本の固化体を作って、本の洗浄運転を行う計画に替ったので、今後は1300本が発生する計算となる。この通りになるのか、それを上回るものになるのか、それとも事故を起こして止まってしまうのか? やってみないと分からない。

高レベル放射性廃液の貯蔵量は、以前240あるとされていたが、その後の数字を事業者は公開しない。3年間の再処理で、廃液の貯蔵容量を超えてしまう可能性も出ているが、その前に定期的にガラス固化をしていくことで、貯蔵施設が満杯になるのは回避する計画と思われる。ただし、5年間の運転ごとに行うことになっている、溶融炉の交換という一大事業が控えている。果たして、それが無事に行えるのか、極めて疑問である。

いま、関西電力、九州電力、東北電力、四国電力が値上げ申請し、他社も追随しそうである。値上げの負担は、利用者が背負わされる。しかし、経費削減すべきものがあるはずだ。その一番のガンが、六ヶ所再処理工場の費用負担である。再処理しないのに、再処理前受金で会社の経費を払うような会社に、国民の電気料金と税金が投入されている。この日本原燃をつぶせば、電力会社は値上げを回避できるはずである。しかし、それをすると、今度は自分たちが核のゴミの管理をしなくてはならなくなるので、それはしたくないだけなのである。

なお、先に紹介したように、積立制度があるため、これまで日本原燃に定期的な再処理料金が支払われてきたのであるが、原発停止の状況が長期化したことで、必要額を維持できるか否かが問われるという事態が起きつつある。

それを示しているのが、公益財団法人原子力環境促進・資金管理センターが作成した「昭和24年度 再処理資金等資金管理業務に関する事業計画書」と「平成24年度 再処理等資金管理業務に関する事業計画書及び収支予算書の変更」との対比である。

前者の報告書では、「平成24年度においては、原子炉設置者から積み立てたてられた平成23年度再処理積立金および本年度に積み立てられる平成24年度再処理等積立金(約2,515億円)を加え、安全かつ確実に運用すべく、的確な業務管理に努めることとする。また、原子炉設置者への再処理積立金の取り戻し(約2,870億円)を円滑に行うこととする、これにより平成24年度末運用残高は2兆6,216億円と見込まれる」とされた。

しかし、後者では、「平成24年度においては、原子炉設置者から積み立てられた平成23年度再処理積立金および本年度に積み立てられる平成24年度再処理等積立金(約1,784億円)を加え、安全かつ確実に運用すべく、的確な業務管理に努めることとする。また、原子炉設置者への再処理積立金の取り戻し(約2,757億円)を円滑に行うこととする、これにより平成24年度末運用残高は2兆5,598億円と見込まれる」と減額されたのである。

このように、各電力会社からの再処理等積立金が前年度比で731億円減少し、再処理積立金の取り戻し額が前年度比で113億円減少し、運用残高で前年度比で618億円減少した。

ちなみに、この再処理積立金について、日本原燃が有価証券報告書を作らないので、各電力会社の有価証券報告書に根拠となる数字を探してみたが、公益財団法人原子力環境促進・資金管理センターに積立している事実を記載したのは東京電力と関西電力だけであった。他社の有価証券報告書には、その根拠となる記載を見つけることができなかった。

この積立金は、電気料金を支払う利用者が払う電気代から集めたものである。電力会社が、自分たちの利益から積み立てたものではない。是非とも、利用者に公開するべきと思うが、それをしたくないという根拠がわからない。

今年3月末、どのような決算となるのかで、日本原燃に支払われる再処理料金が維持されるのか、場合によっては減額となるかが決定される。このような経営上の危うさにありながら、危険極まりない核のゴミの安全管理を行うことは、会社にとっても就業者にとってもストレスとなることは明白である。

それゆえ、これまでに2度再処理事業から撤退するかどうかの議論がなされたと、次に紹介するNHKスペシャルでは報道していた。1度目は9年前、そして2度目は昨年である。特に、昨年の経緯は、後に問題となった原子力委員会の秘密会議である。

5.秘密会議で再処理生き残り?

  2013年2月10日午後9時から、「NHKスペシャル『核のゴミはどこへ 検証 使用済核燃料』」が放送された。

メインは再処理後の核のゴミをどうするのかという観点の番組だが、日本原燃の手がける六ヶ所再処理工場がなぜ存続しているのかも、明らかにするものであった。その中で、特に興味時深かったのは、日本原燃が「年間3千億円のキャッシュが必要」と洩らした場面である。

以下に放送内容を紹介する。

『去年、政府の主導で検討された再処理の見直し。これに対し、青森県の三村知事が強く異議を唱えました。

(三村知事)

「この使用済み核燃料がそのまま(青森県に)放置されるのではないかと、要するに約束違うことが起こってはいけない。資源として再利用されない場合には、それぞれの発生元にお返しする。私どもはゴミ捨て場ではないんだ」。

 結局政府は、再処理の方針を見直しませんでした。

 その背景に、当事者たちの複雑な利害関係があることも分かってきました。

 今回私たちは、その一端を示す映像と音声を入手しました。原発事故の後、霞ヶ関の庁舎で23回にわたって行われていた原子力委員会の秘密会議です。

 再処理の見直しが政府内で検討されていた最中、日本原燃と東京電力、内閣府、経済産業省、原子力委員などが一堂に会していました。

(内閣府職員)

「六ヶ所の再処理工場は動かさないといけない」。

(日本原燃)

「ありがとうございます」。

(内閣府職員)

「そこに尽きるのかなと思っていて、それが潰されるようなシナリオは書けないので、六ヶ所は続けましょうねと・・・」。

 この秘密会議で日本原燃が配布した資料です。

 2012.4.27 日本原燃 六ヶ所再処理工場の操業費用について。

 再処理工場の稼動が遅れる中、日本原燃の重ねた借金(有利子負債残高)は1兆円。再処理が見直されれば、銀行の融資が止まり、経営危機に陥ると訴えました。

(日本原燃)

「私企業としては、大変困る。なんらかの救済策が必要になってくる。(年間)3千億円ぐらいのキャッシュは必要になる」。

(日本原燃)

「知っておいてほしいのは、(日本原燃が)国立研究機関であればいつでも(再処理を)止められると思うけど・・・」。

(原子力委員)

「おっしゃる通り、民間企業だからね・・・」。

(日本原燃) 

「民間の場合、止めろと言われるとお金が回らなくなるので困る」。

(原子力委員) 

「銀行が(日本原燃に)お金を貸さなくなっちゃうってこと・・・」。

(日本原燃)

「六ヶ所も早く引き上げてとなってきちゃうと、全然あちこちが、みんな通らなくなっちゃう。そこを上手に、うまく、なんていうか、そういうことにならないように・・・」。 

6.経済性の審査を国民的議論に

「3.体制の根幹に触れるか否か?」で触れたように、裁判官が体制批判をするのは、難しいことなのかもしれない。しかし、現実を見据えれば、改めるべき時期を迎えていると気づくべきである。

ウラン裁判、低レベル放射性廃棄物埋設施設裁判とも、敗訴となったが、私たちが裁判を通して訴えたことは、今もまだ生きている。

技術的能力の未熟な状態でのウラン濃縮事業は、結局事業としては成功したとは言えない。7つの工場で1050トンSWU/年まで立ち上げたが、すべて停止して、新たな工場を小規模濃縮から始めている。私たちは、国産ウランは高くつくし、その後の核のゴミ捨て場が決まっていないと主張してきたが、今もその状態は改善されないでいる。

日本中に持って行き場がないので、六ヶ所村に持ち込まれた低レベル放射性廃棄物の埋設施設は、搬入本数が減ったこともあって、未だに野ざらし状態である。元々は、土の中に埋設管理をして、覆土から漏れる放射線が年間22マイクロシーベルトの再処理工場より高いとされていた。ところが、覆いとなるピットはひび割れし、それもいずれ埋設されるというので、補修もせずに放置されている。これで、安全な管理が行われているとは、誰にも思えないのではないだろうか。

そして、海外再処理に比べて高コストの六ヶ所再処理工場であるが、着工から20年目の今年10月、竣工を予定されているが、工場の劣化が事故に結びつくのではないかと心配される。そして、海外再処理工場に比べて費用が高い。これを利用者負担にしているから、電力会社は損をしないのかもしれないが、利用者の負担が増えるだけである。そして、万が一の事故が再処理工場で発生したら、その損害賠償等の費用も、税金で払うことになる。

これらの事実を、我々は東京電力福島原発事故から学んだ。同じことが繰り返される可能性が高いのに、何もしないで見ていることはできない。

いま、原子力防災範囲を拡大するとしているが、六ヶ所再処理工場の原子力防災範囲はこれまでと同じく半径5kmとされている。しかし、それでは収まるはずがない。なぜなら、再処理工場の運転で出る放射能は、1日で原発の1年分と言われている。その再処理工場が事故を起こせば、放出する放射能が及ぶ範囲も、相当に遠くまで影響することが予想されるからである。

福島県庁は福島原発から直線で約60kmだったが、オフサイトセンターが設置され、放射線量が通常の20倍以上であった。それを考えれば、六ヶ所再処理工場から60kmの青森市も八戸市も、放射線管理区域に相当する0.6マイクロシーベルトを超えることが容易に想像できる。そのような中で、どうしても六ヶ所再処理工場を操業させるべき理由を見出せない。

ぜひとも、当法廷において再処理工場の経済性を問いただし、全国の電力利用者に、再処理工場に支払っている料金の実態を明らかにするよう求める。 


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